駅前から徒歩で数分の某飲食店に入った。
テーブル席で向き合う形で着席した。
できればカウンター席が良かったのだが、
残念ながら、この店にはないのだ。
それでもこの店をチョイスしたのは、
彼女の希望だったから。
私はハイボールを、彼女はビールを注文した。
些細なことだが、これは私なりの気遣いであり
ある種の探りでもあった。
飲みの席では普通、一杯目というのは、
「とりあえずビールで!」
という方がスムーズであることは確かだ。
しかしそうしてしまうと、女性は本当に飲みたい
アルコールを注文しにくくなってしまう。
私が先にハイボールと言うことで女性は、
この人は飲みたいものを注文したから私も。。と、好きなアルコールを注文しやすくなる。
ミサちゃんも好きなの飲んでね。すると彼女は、
私、日本酒飲んでみたいかも・・
でも日本酒は酔いが早いし・・それを聞いた私は思わず笑ってしまった。
なんか単純におかしかった。
いいね〜。いきなりかいっ!
大丈夫だよ、お冷も一緒に頼んで
ゆっくり飲めば酔いにくいから。笑すると彼女は、
あっ、そうですね!それなら大丈夫そう。
ひでさんって、やっぱり大人ですねー。
そういう機転を利かせてくれる人って
なかなかいませんよぉ。ハイボールと日本酒で乾杯しサシ飲み開始。
私も彼女も風俗の話題を一切することなく、
会話を楽しんでいた。
私は彼女がどこに住んでいるのかや、
彼女の本名や年齢など全く気にしなかった。
そんなことはデートを重ねられるなら、
自然と後からついてくる情報だと思ったし、
ほぼ初対面の男に根掘り葉掘り聞かれたら
彼女でなくともいい気分はしないだろう。
誰も得しない会話をするくらいなら、
彼女の趣味や好きな食べ物や音楽など、
次回のデートの参考になるような会話をすべきだと思ったから。
飲み始めて一時間半が過ぎた。
私は彼女と横並びに座りたかったのもあり、
二軒目に誘った。支払いを済ませ店を出た。
手を繋いで歩いていると、
ひでさん・・私、今日はこれで帰るね。えっ?まだ帰るには時間がまだ少し早いような。
ごめん、なんか失礼なこと言っちゃったかな?ううん、違うの。ごめんなさい。。先程まで楽しそうにしていた彼女の表情が
どことなく曇っているのがわかった。
俺はまだミサちゃんと一緒にいたいなぁ。うーん・・どうしよう。私の言葉に少し困った様子の彼女。
楽しい空気が徐々に消えてゆく感じ・・
その理由を知る由もなかった私は、
とりあえず、ゆっくり歩いて夜景を見ようよ。
10分だけでいいから。今度は私の言葉に黙って頷く彼女。
そして彼女の口数が一気に減った。
二人で歩きながらも私の脳内はフル回転。
内心、ホテルで過ごす展開を期待していたが、
そんな私の下心はいつしか消えていた。
ミサちゃんの事情を俺は知らない。
ミサちゃんも俺の事情を知らない。
そんな二人が楽しく過ごせるなんて
不思議だね。なんでだろう。
ちょっとそこらの人に聞いてみよっか?すると彼女はじわじわと笑い始めた。
ひでさん、ちょっと!・・面白い、ふふっ。
ひでさんてやっぱり優しいですね。私が理由を聞かなかったからだろう。
彼女は私を優しいと感じたようだ。
優しくないよ。俺なんかめちゃくちゃ呼吸して
酸素無駄使いしてるから。地球に厳しいよ!彼女は笑いながら私に寄りかかってきた。
そろそろ時間だ。二人、駅へ向かう。
駅が見えてくる。
ひでさん、やっぱりまだ一緒に居てもいいですか?私は少し驚きながらも、
うん。まだ一緒にいようよ。わがまま言って、ごめんなさい・・じゃあ、ちょっと場所変えてもいいかな?タクシーを拾い二人で某所に向かった。
車内で彼女は私の肩にもたれかかる。
すると、微かに彼女の寝息が聞こえてきた。
その無防備な寝顔を見た私は、運転手に告げた。
すいません、やっぱり◯◯へお願いします。私はタクシーを自宅に向けたのである。
−続く−
ポチっとしていただけると助かります。
- 関連記事
-
管理人のみ閲覧できます
No title
Re: お久しぶりです
コメントありがとうございます。
お元気そうでなによりです。
気の向くままに風俗へ遊びに行ってるウチに
たま〜にドラマチックなことも起きたりするので
気合いを入れずに楽しみましょ(´∀`)
たけさん、ファイヤー!
管理人のみ閲覧できます