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分け合うこと - 15.私を泣かせたミサ -


ミサに合鍵を渡し半同棲のような生活が始まると、
当然のように彼女の生活用品やらが必要だった。
休日は一緒に買い物に出かけることが増えた。
ショッピングモールにもよく出かけた。
私の部屋に少しずつ同棲の匂いが増してきた。

仕事を終え帰宅すると手料理を作ってくれたり。
体調が優れずにミサがベッドで寝ている時は、
そっと髪を撫でてみたり首筋の匂いを嗅いだり。
ミサのほんのり香る甘い匂いが大好きだった。

それからしばらく経った或る日、

ひでさん、あのね・・

ミサは昼職を探し始めていた。
嬉しさと不安がよぎった。

そっか。でも体調は?
嬉しいけど正直、少し心配かな・・
ミサ、頑張りすぎなくていいよ。
条件面とかじっくり考えながらでいいから。


うん。ありがとう。
ひでさん、私、大丈夫だから。ありがと。


それから、ミサのスマホが鳴ることが増えた。
各所からの面接の連絡だ。

はい、、はい、お伺いさせていただきます。
よろしくお願いいたします、はい、、失礼いたします。


ミサの慣れた口調を聞きながら、

“〇〇(前職)で働いていただけのことはあるなぁ”

などと、妙に感心していたのだが、
ある時、スマホが鳴るなりミサは玄関を出てった。

“ん?どうした?”

5分ほど過ぎても戻らないことに心配した私。
玄関まで近づきそっと耳を澄ませていると、
すぐ外でミサの声が聞こえる。
少し困ったような口調で話している。

“ん?風俗店からの電話か?”

結局、数分後にミサは部屋に戻ってきた。
まるで、気まずさを笑顔で隠すように。
その表情を見て確信した私は、

今のは店(風俗)からでしょ。

そう言った。

うん・・実はね・・
2週間前にお店辞めますって、伝えてるんだけど・・


彼女がてっきり掛け持ちするものだと思っていた。
昼職することで風俗の出勤が少しでも減ればいい、
その程度にしか思っていなかった。
私にとって、とても嬉しい瞬間だった。
ひとまず、話を続けた。

辞めさせてくれないとか?

ううん、違うの。
辞めるのは了承してくれたんだけどね、
HPから写真を消してくれないの・・。


風俗では在籍数を多く見せかけるために、
辞めた嬢の写真を掲載し続けることがある。
これは風俗では、かなり“あるある”なのだ。

私はミサから経緯を確認したうえで、

ミサ、もう一回連絡してみて。

こういう話を聞くと風俗店はカスだと思うが、
まあ店側の事情も分からなくはない。
とにかくスムーズに写真を削除してくれたら、
それでいい。

ミサが電話をかけて少し話したところで、
私が電話を代わり店員と話した。
感情的にならず冷静に和やかに削除依頼した。
ミサは私の隣で心配そうにしていた。
多分、10分ほどで話は終わったと思う。
本当に即削除してくれるのか少し不安は残ったが、
とりあえず数日、様子をみることにした。

多分、大丈夫な気がするけど・・
まあ少し様子みてみよう。


ミサは申し訳なさそうにしていた。

ひでさん・・
私のことで、ごめんなさい・・
ダメだね私。自分のこと自分でできるように
ならなきゃ・・ごめんなさい。


“DVを受ける前はこんな感じではなく、
明るく元気に働いていただろうに・・“

私はミサの元夫に対し改めて怒りが湧いた。

ミサ、おいで。

そっと、抱き寄せた。私の耳元で、

いつも助けてくれて、
私みたいな女に優しくしてくれて。
言いたいことも我慢して笑顔でいてくれて・・
ひでさん、ありがとう。私、頑張るから。


いつもより少し力強い口調で言った。
ミサが店を辞める選択をしたことに安堵したのか、
もう身体を傷つけなくて済むことに安堵したのか
分からないが、脱力感のようなものに襲われた。

“何か言葉を発したら泣いてしまいそうだ”

私は何も言わず、しばらく抱きしめたままだった。
さらにミサは言葉を続けた。

ひでさん。

なに?

これからは、私がひでさんを守るよ。

泣き虫だったミサがそんなことを言うものだから、
私の目から大量の汗が自然と流れ出てしまった。
涙のワケは分からないが嗚咽しそうな勢いで、
感情が溢れ出てしまった。

私の人生の中で女性からそんな言葉を聞いたことは
一度もなかったから、彼女の言葉にも気持ちにも
感動してしまったのかもしれない。

“ヤバイ!こんなに泣いてしまったら、
逆にミサが心苦しく思うだろっ、バカッ!“

ひでさん、泣かないで。

そう言いながら私の頭を撫でるミサ。

いや泣いてないから!
ちょっと今、スコールに襲われててさ!


私のヤケクソのボケが面白かったのか、
ミサは転げるように笑い出した。

ひでさんって、すごい~!
なんで咄嗟にそんなこと言えるのぉ?
こんなに優しい人に会ったことない、私。


ミサの写真は結局、この日の夜に削除されていた。



★肌寒く乾燥する季節に

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驚異の中毒性 (´ཀ` )

1話からぶっ通しで読んでしまいました。

何ですか?コレ?

カッパえびせんですか?コレ?

次が気になる…。

実話に基づくものならヤバいですね!

いろんなエッセンスを文章とともに読み取って
ます。

やめられない♪ 止まらない♪

禁断症状が出る前に続編お願いします 笑

Re: 驚異の中毒性 (´ཀ` )

ポン太 様


信じがたいでしょうが、、マジで実話です。
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みなさん、ありがとう( ´∀`)
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