分け合うこと ー 13.ミサに渡したあるモノ。 ー
ミサが離婚直後だということを知り間もなく、
もう一つの事実を知ることになった。。
ここにその詳細を書ける範囲でお伝えする。
彼女は元々、誰もが知る有名企業で働いていた。
かなり仕事が出来るタイプで出世頭だったようだ。
その当時の写真も見せてもらい、
私はかなり驚いたことを記憶している。
そこには若くキラキラしているミサが映っていた。
だが、結婚を機に退職。
これで幸せになれる・・・はずだった。
しかし、現実は全く違った。
元ダンナは、かなりのマザコン。
そしてDV・・姑もミサに冷たかったらしい。
結婚生活が始まって数か月後。
ミサは嫁ぎ先で気を失ってしまう。長期入院。
精神を壊してしまったのだ。
長い法廷闘争を経て、ようやく離婚が成立。
しかし、それで終わったわけではない。
しばらく精神科に通院する期間もあった。
少しずつ元の自分を取り戻してゆく・・。
だが、再就職できるような状況でもなかった。
しかし、お金は稼がねばならない。
・・風俗で働くしか手段がなかった。
そして風俗店で働きだした直後、私と出会った。
そんなミサと私は出会った。
この事実を知るまでにかなりの時間を要した。
ミサがフラッシュバックを起こしたり、
過呼吸になったりするからだ。
それでもミサは私に少しずつ伝えようと、
日々、頑張って話そうとしていた。
彼女なりに自身と闘っていたというか、
“過去の毒“を吐き出したかったのかもしれない。
そんな姿を見る度、
“彼女を全力でサポートしたい”
そんな想いが募っていった。
過去の話さえ触れなければ特に問題はなかった。
ミサとの日々はいつも楽しく癒された。
“こんなブ男でいいのかコイツは?!”
なんて思った日もある。
何度か本人に冗談まじりに聞いたりもした。
ミサ、俺と会っていて楽しい? するとミサは決まってこう言った。
私とひでさん歳がすごく離れているけど、
全然気にしたことないですよ。
話も合うし優しくて男らしくて好き。 その度に私は苦笑いするしかなかったが、
そんなミサが愛しくてたまらなかった。
一緒に街を歩けば、そこらの男が振り返る。
“えっ、あの子がなんであんなブサイクと?!”
みたいな視線をヒシヒシと感じるのは日常茶飯事。
それもいつしか全く気にならなくなった。
ミサのもうひとつの口癖。
ひでさんといるとすごく安心する。
ひでさんの家にいると安心して眠れるの。
ひでさんの匂いも好き・・ ミサは実家に帰りたがらなかった。
それでも週に2~3回くらいは用事もあり
渋々、実家に帰ることもあるにはあったが。
いつ頃だっただろうか。或る日、私はミサに、
ミサ、これ持っていてくれないか? 私はミサに合鍵を渡すことにした。
えっ?えっ?・・・本当にいいの? ミサはかなり驚いた様子だった。
俺はミサのことが好きだ。
真剣に付き合ってほしい。 順番が逆と言えば逆だし今更すぎるのだが・・
私、なにもしてあげられないのに。
ひでさんに迷惑かけてばかりなのに・・ そんなことどうでもいい。
お互い助け合って暮らそう。 ミサは鍵を握りしめ、俯いたまま泣いていた。
泣くとまた過呼吸になっちゃうぞぉ。笑 うん・・。 ミサの事情もあり完全な同棲とは言えないが、
これでミサはいつでも私の部屋に出入りできる。
ひでさん? ん? 私を疑わないの?聞きたいこととか・・ “あぁ・・風俗のことか。”
疑ってないよ。ミサの目に嘘はない。
見ていたら分かるんだよ。 実際、ミサとデートを重ねていても、
すごく気が利くし花や動物や子供を見ては
愛おしそうにしていた。
例えば、洗濯した服を畳む所作なども、
柔らかな手つきで品が良かった。
美化したわけではなく本当に心優しい女性だ。
まだミサにはミサの事情がある。
それ(風俗)に関してどうするかは、
ミサが体調とも相談し、ゆっくり判断してほしい。
ただ、どっちの意味でも無理はしないでいい。 ひでさん、ありがとう・・ その後もミサは時々、店に出勤していた。
元々、出勤日数が少ない子だった。
出勤は、月に5日程度、平均5時間ほど。
客がフルで着いたとしても一か月あたり、
約20万円程度の収入だと思われた。
しかし、私と出会ってからは出勤が減り、
私と出会った当初と比較すると、その収入は、
半分以下に落ち込んでいたはず。
私は秘かに彼女の収入減を心配はしていたが、
そっとしておいた。
ちなみに、あってもよさそうな気もするのだが、
出会ってから風俗の話をすることはなかった。
私が合鍵を渡してから、生活に変化が起こる・・
ロクシタン ベストセラーセット ポチっとしていただけると助かります。
- 関連記事
-
管理人のみ閲覧できます