分け合うこと - 12.ミサが抱えていたもの。 ー
久しぶりの更新になります。早速、本題に入ります。
私はテーブルに合鍵を置き、
ミサを起こさぬよう家を出て職場へ向かった。
そろそろ昼だという頃、ミサからLINE。
“ひでさん、おはようございます。
行ってらっしゃいが言えなくて、ごめんなさい(汗
久しぶりに寝すぎてしまいました。
私もこれから仕事行ってきます(泣“ 仕事とは、もちろん風俗のこと。
彼女にそう言われるとやはり複雑だったが、
“気をつけて。無理しすぎずに。” の返信と、明るい感じのスタンプを送った。
お店のHPを確認してみる。
“13時~19時まで・・6時間か。”
彼女が店でどれほどの人気かは不明だが、
彼女の持つ雰囲気や色気のあるボディ、
そして、色白の肌。人気がないワケがなかった。
正直、彼女の人気を確かめたい気持ちもあった。
そして、私はタイミングを見て何度かLINE。
すると、接客と接客の合間にミサは返信してきた。
店の業態なども踏まえて、
“めいっぱい客付いてるな・・MAX4人か。”
というようにイメージをしたりして、
昼飯よりもミサのことで頭がいっぱいだった。
私が仕事を終える頃、ミサも仕事が終わる。
“おつかれさま。一緒に夜ご飯食べない?” LINEを送信すると、即返信があった。
“お仕事、おつかれさまでした。
今日は実家に帰らないと・・ごめんなさい(泣” “今日ね、体調悪くて早上がりさせてもらったの” どうやら夕方、店をあがったらしい。
スタッフも気を遣ってくれてスムーズに早上がり
できたようだった。
帰宅すると、私の部屋にはミサの残り香が。
そして、テーブルにはメモが置いてあった。
“ひでさんへ。
今日も一日、お仕事おつかれさまでした。
行ってらっしゃいが言えず、ごめんなさい。
ずっと寝ちゃってごめんなさい。
ひでさんの部屋、ひでさんの匂いがして
とても落ち着きます。
合鍵はポストに返しておきますね。” そんなようなことが書いてあった。
私は夕飯を食べるどころかミサが気になった。
LINE通話をしてみると、ミサは即応答した。
この時の会話はあまり覚えていないが、
互いに少しぎこちなかった気がする。
そして数日後の週末。
私は初めてミサの実家近くまで車で迎えに。
道路状況によっては一般道で2時間近く要する。
この日は1時間半ほどで到着した記憶がある。
ミサの実家の具体的な場所は知らないが、
その付近で車を停めて待機した。
10分ほど待つとミサが現れた。
日中はドライブを楽しみ、夜は私の自宅へ。
平日、ミサが仕事終わりに泊まったこともあるし、
知り合ってわりと早めに週の半分は私の部屋に
泊まるようになっていた気がする。
これも記憶が曖昧なのだが、ある夜、
今まで気になっていたことをミサに尋ねた。
ミサって敬語で話すことが多いよね。
全然イヤというワケじゃなくて、
どうしてかな?って、少し考えていた。 ミサの顔が明らかに曇った。
そして、少し覚悟を決めたかのような感じで
ひとつ溜息をつくと、
あのね・・ひでさんには黙ってたというか、
その・・どう伝えようかずっと悩んでてね。
実はね・・バツイチなの・・ そっか。何の問題もない。笑 えっ?・・怒らないんですか? 怒る理由になんかならないよ。 ミサは不思議そうな顔をして私を見た。
あの、もちろん子供はいなんだけど・・
黙っていて、ごめんなさい・・ もちろん子供はいないっていう表現が可笑しかった。
ふぅん。?? クスクス笑う私を見て、ミサは変な声をあげた。
少し細かく状況を書く。
ミサは私と出会った当初に離婚が成立。
とはいえ、荷物の整理など相手の状況もあり、
まだ完全にカタがついているワケでもなかった。
そんなことから私に対し気まずさもあったようだ。
そっか。教えてくれてありがとう。 ミサは私の言葉を聞いて少し表情を緩めた。
ただ、私がこれで腑に落ちたワケでもなかった。
この際だと思い、ズバリ聞くことにした。
離婚の原因は・・DVでしょ? ミサは黙って頷くと、
えっ、なんで?・・わかりました? まあそりゃね・・なんとなく。 ひでさんに話したいの・・
だけど、思い出すだけで怖いし、
ショックで覚えてないこともあるの・・。 ごめん、無理に話さなくて大丈夫だよ。
ごめんね。 私はミサをそっと抱きしめた。
すると耳元で、
悲劇の女を演じて、
ひでさんの気を惹きたいワケじゃないの。本当なの・・。 うん。大丈夫だよ。 頭をそっと撫でた。ミサの目から涙が溢れだした。
条件反射的に溢れ出す涙を何度か見ているうちに、
“ミサは、どんな仕打ちを受けていたのだろう?”
そう思った。ミサに再び問いかけたくなる。
そんな気持ちを抑えるように、
私は自分の口をミサの唇で塞いだ・・
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